リュケイオン  〜lykeion〜 news letter  IMC ELLR Gifu University
 リュケイオン 〜Lykeion〜
岐阜大学生涯学習教育研究センターNews Letter
「リュケイオン」の名称について  
元・岐阜大学教育学部教授木下康彦
 生涯学習教育研究センターから、新しく出すニュースレターの名称は、学習・教育・研究すなわち「学ぶこと」・「教えること」・「研究すること」に関係し、センターにふさわしいものをと考え、「リュケイオン」を選んだ。これは古代ギリシアを代表する哲学者アリストテレスが開いた学園の名称である。 学校や学術機関には「アカデミー」(アカデメイア)の名称が用いられる。これはよく知られているように、前4世紀にプラトンによってアテナイの北西郊外に開設された学園で、6世紀、東ローマ皇帝ユスティニアヌスが勅令によりその活動停止を命じるまで、約900年余にわたって、古代ギリシア・ローマ世界における学問研究のセンターとして大きな役割を果たした。 この学園で学んだアリストテレスは、その師プラトンの死とともにアテネを去り、のちマケドニアの王子アレクサンドロスの教育にあたった。しかし、アレクサンドロスが王位を継承した後、アテナイに戻り、アテナイの東郊のアポロン・リケイオス(アポロンはしばしばこのように呼ばれた)を祀った聖域(現在、国会議事堂がある)に学園を開いた。学校はアポロン・リケイオスに因み、「リュケイオン」と呼ばれた。アリストテレスは、毎朝この学園の散歩道を歩きながら弟子たちと哲学上、学問上の問題を論議するのが慣わしだったといわれる。このことから、アリストテレスとその弟子たちを「ペリパトス学派」hoi Peripatetikoi(散歩をする人々、難しくは「逍遥学派」)と呼んだ。リュケイオンはマケドニア王室の支援もあり、一時はアカデメイアを凌ぐ規模の学園になったと考えられるが、アリストテレスは、アレクサンドロスの死後、アテナイに高まった反マケドニアの風潮の中で、アテネを去ることとなった。 リュケイオンはアカデメイアのように長期にわたって持続しなかったが、アリストテレスが後世の哲学、科学等学術に与えた影響は計り知れないものがあり、リュケイオンの名はフランスの国立高等学校の名称lyceeや英語で文化会館を意味するlyceumという言葉に残っている。アカデメイアに比べ、知名度は低いが「リュケイオン」も学術、教育に関係が深い言葉なのである。 発足したばかりの生涯学習教育研究センターが、今度多くの人々に広い分野の学習・研究情報や種々の学習機会を提供し、時代の変化やニーズに対応し、それこそ「歩きながら」も、様々な研究や教育・学習活動を発展させていくことをこの「リュケイオン」の名称に込めたつもりである。 
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